コロナ禍で自殺者が減少したわけ

私としても自殺者の親を持つ子供として、テーマ的に知りたい欲求があったのでまとめようと思いました。どうでもよいのですが、私の話を少し。私の父は、私が中学生の時に自殺しました。朝起きてリビングへ行くと、知らないおじさんと母がリビングのテーブルで話していました。ただ、母は泣いていたのです。

そんな、見たこともない雰囲気で中学生的に正しい反応か動揺した反応か分かりませんが、リビングを無言で通り過ぎ、ベランダのところまでなんとなく歩いていき、外を見ていました。暫くして、母が私の名前を呼び「お父さん死んじゃったよ」と泣きながら言っていたのを思い出します。

さて、父は何故死んだのでしょうか。経済的、仕事的、家族的な話だったのでしょうか。本人から聞いていないので分かりません。母の言うことが本当かも分かりません。何にせよ結果的に本人を救う事は出来なかったのです。家族も。社会も。

今回の記事は、興味本位でまとめたというよりも、世間一般で言うような「コロナが人を殺す」「経済を止めれば人が死ぬ」「自粛が人を死に導く」などを聞いた時に個人的には、「本当にそうなのかな」と非常に疑問に感じ調べてみております。

 

月別自殺者数から見る2020年4月

 

2019年月別自殺者推移

警察が発表しているのは、警察がやはり現場へ来るからですね。現場検証しなければ、他殺か自殺か事故か分かりません。私の場合のあの「おじさん」は、警察の人でした。神や仏ではありません。

上図は、2019年の月次自殺者数の推移になります。年度でイベントと言うと語弊がありますが、基本的に突発的に数が増える事はなく、3月と5月をピークに2月まで自殺者が減る傾向にあります。春は、天候や社会の変化時期でもあるから。という事になりそうです。

この月別の推移をみる事で、今回の2020年4月は、例年どうかというと1年で一番多い時期であるだろうと言えます。しかし、下記の数値を見てみてください。

2018年4月: 1,825人
2019年4月: 1,814人
2020年4月: 1,455人

今年は、例年より一気に400人近くも自殺者が減少しているのです。さらに先ほども言及したように月での季節変動を大袈裟に考慮したとしても、この減りは顕著だと言わざるを得ません。そう考えると「たまたま月で変な数がでた」というわけではなさそうです。明確に、そして、複数の要因で結果的に自殺者が減っていると言えます。

さらに全体の総数で見ても自殺者は、人口減少や高齢化もあり毎年3%前後減少していってます。人口減少分0.2%がですから、正味無視できる数値かもしれませんが減っていっているようです。月別で見てもコロナで自殺者が激減。しかも、例年多い時期での激減。逆に言ってしまえば、いつも多い時期だったからこそ、何かしらの要因が明確に効き、自殺減につながったと言えるかもしれません。

 

年齢別自殺者数での推察

 

年齢別自殺者数の推移

2019年までの推移を見ると10代のみが微増。ちょっと、涙が出そうなのですが、人口割合的に減少している数少ない若者において、自殺者数が変わらずむしろ割合を考慮すると増えているのです。

さらに別のデータになりますが、9歳未満の自殺割合のデータもあります。実は、10歳未満、10代、20代の人口比率による自殺数は、そんなに変わりません。この国では、生まれてから若い人たちが死ぬことを考えるお国柄、遺伝子なのです。

若者の自殺率については、別なテーマになりますが、今回コロナで減少した層は、一体どこだったのか。というのがコロナで自殺が減少した理由を探るうえでキーになりそうです。

このデータは、年で発表されるので知るのは2021年になりそうです。もう少し、テーマが異なりますが年齢で見ていきたいと思います。

意外だったのが、人口割合が一番多い60歳、70歳、80歳以上の自殺数が他の年代より若干少ないものの、自殺しているという事実です。ただ、人口割合では、40代~50代が多いようです。

年齢をベースに見えてくる事もありそうですが、この年齢だからどうこう。というのは、難しそうです。実際に予測された要因ではなく、警察が調べた要因があるのでそちらも見ていきましょう。

 

自殺者の原因の年次推移

 

自殺者の理由

一番多い自殺の理由は、健康問題です。いつの時代も健康問題が50%以上の理由を占めていますから、自殺する人の50%以上は、健康問題が何かしらの理由になっていると言えそうです。つまり、医療であったり、サポートであったり、健康問題を理由とした仕事であったり。複雑な要因が絡むものの、「健康問題」が主たる原因であると言えるものが半数以上という事になりそうです。

コロナで重症化し、重い障害を負ってしまった。悲観し、自殺するまでどのぐらいの期間を要するか分かりませんが、もしコロナが原因となり、健康問題で自殺者が増えるとすればそういった要因となりそうです。

ただ、現在注目したいのは、全体の10%を占める勤務問題。15%を占める経済・生活問題。そして、15%を占める家庭問題などでしょうか。昔から経済危機での自殺者増加は、優に因果関係がある。と色々なところで情報が出ています。ですから、「経済再開しないと自殺者が増えるから再開しろ!」だったり、「営業していく!」という論調も少なからず間違いではありません。

但し、経済再開と自殺者の問題は、同じ土俵で議論すべきではないですし、クレームが多いものの政府や自治体の補助金、助成金、給付金などでサポートがなされています。よって、これらのサポート無しでの自粛は、経済悪化により自殺者が増える可能性がありますが、度合いはあれど多少のサポートがある状態では、大きく自殺者が増加する要因にはならなそうです。

 

コロナで自殺者が減ったわけ

ここからは、完全に個人的な推察です。自殺原因を見ると、健康問題以外では、経済問題と家庭問題で15%ずつです。経済問題は、なんでしょう。お金を苦に自殺してしまう。お金がない、仕事がない。家庭問題は、なんでしょう。義理の祖父母?親の影響?夫婦問題?

自営業の飲食店店主が自粛と将来に悲観し、焼身自殺をした事件がありました。これは、経済問題だけなのでしょうか。家庭問題もあると考えらえますし、メンタル的な健康問題も考えられます。

男女問題が4%。学校問題が2%。これらに関しては、家庭問題にも属しそうな気がしますが2020年4月が例年比20%減少である400人近い人数を考えると、やはり健康問題以外の問題である部分にまんべんなく、結果的によい効果があったのかもしれません。

経済・生活問題

  • お金よりも生きる事にフォーカスできているから
  • 自粛などにより、結果的に死を考える機会がない(全要因)

家庭問題

  • いつも一緒にいない人が一緒にいたりできるから
  • いつも話せてない人と話せているから

勤務問題

  • 人間関係のストレスが自粛で減ったから
  • 仕事自体が緩和され楽になったから
  • 出勤(移動時間)が必要なくなったから

男女問題

  • 不倫や浮気の機会が減り、新たにも起こらないから
  • コロナ禍で別れのタイミングが伸びたから
  • すれ違いが起きにくい環境下にあるから

学校問題

  • 嫌な奴(知人や教師など)に会わなくていいから
  • 学校教育自体と向き合わなくていいから

 

などでしょうか。大きなものとしてあげてみましたが、例年より400人程度の命が結果的に1か月伸びたのか。そもそも、消滅したのか分かりません。全ての要因に共通するものとして、自殺を考えても実行する機会に恵まれない。というのがあるかもしれません。

これは、1人になれないことがストレスになる一方、誰かといれば生きてはいられる。もしくは、1人だから自分を守れる。という事なのかもしれません。

 

まとめにかえて

今回は、2020年4月から。緊急事態宣言がなされ、自粛が強化された1か月を見てました。今月はどうなのか。データを追って、考察してみたいと思います。何か皮肉な事ですが、たった1か月で救われた自殺予備軍であろう400人。そして、4月中にコロナに罹患し、無くなった400人。命の交換というか、適者生存の原理が働きイーブンのような。

ミクロで見れば、それぞれ悲しいストーリーがあり、死んでないから良いという話でもありません。マクロ的に見るとコロナに限って言えば、国家目線で国民の命を平時と同様に維持出来ていると言えるのはでないでしょうか。もちろん、満足度・幸福度など他の要因は分かりません。しかし、交通事故も減っていますし、トータルでの国家的な人命という意味で、逆に生きれる世の中になったと。2020年4月は言えるのかもしれません。

 

2020年6月26日追記

2020年5月データが発表されました。2020年5月の自殺者数は1,501名となっています。過去2年の2019年、2018年5月を見るとそれぞれ1,850名ほどでした。割合にしてマイナス19%です。例年比20%の自殺者減少となりました。350人とすると1日1人自殺する人が減ったような印象です。2020年4月と5月のデータを見ても連続して前年対比20%減です。緊急事態宣言が解除され、日常が戻りつつある6月はどうなるか。学校も始まりましたし、会社も始まったところが多い。6月、7月の傾向も見ていきたいと思います。

 

2 COMMENTS

ベジータ

興味深い記事でした。
経済を回し自殺者を減らそうとしている現代ですが、コロナで経済が停滞しても過去のデータに反して自殺者が減るのであれば、リスクを取って、経済を回す必要がないように思えました。

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MUI

コメントありがとうございます。
失業率と自殺者数の間には、相関関係が認められますが自粛による一時的な経済の停止は、自殺者抑制をもたらした結果になっています。
しかしながら、今後、失業率が増加するとやはり自殺者も増加する為、自殺者を減らすという観点から言えば、ベーシックインカムや義務教育の選択的オンライン化の承認などが効果的だと言えそうですね

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