小規模企業者の妊婦と産休と育休

小規模企業の妊婦

 

遡る事数年前。やっていた会社で2人目の妊婦が出た。1人目は、バイトの子で結婚~妊娠。そして退職。とスムーズだった。2人目は、正社員で入社し1年もせずに結婚。そして、間髪入れずに妊娠。

自分の妻や周りの知り合いの話などもあり、つわりなどについてもある程度、理解していたつもりだったがそうではなかった。

 

妊娠悪阻(にんしんおそ)ってなんだよ

 

妊娠表明後、暫くすると体調不良を理由に欠勤。暫くすると頻繁に休むようになった。そうなるともう大変。小規模企業者の宿命は、1日ならまだしも数日続くとしわ寄せが他の人に行き、不満が出始める。

「なんなのあの人。すぐ結婚で妊娠で来ないとかってありえないんだけど」

「休み過ぎじゃない?つわりって言っても、ずっと来れないとかないでしょ」

「わたしはそんなの無かったし、ちょっと考えられないんだけど」

「妊娠しての体調不良とは言え、ここまで休まれると困る」

「だから、結婚しそうな年代の女性は雇うなと言ったのに」

 

もう、オンパレードです。その矛先は、小規模事業者では社長に向かうわけです。その人を採用する最終判断も、この状況を見極めているのも社長。仕事自体は、残業も不要な状態で回っているのにも関わらず、不満が出る。当時も今もそうでしたが、本当に理解出来ませんでした。

何が?この間、1か月だったと思います。長いか短いかは人によりますが、個人的には、彼女を守る能力も社内に平穏をもたらす術も持っていなかった。という結論になります。どうするか悩みました。そして遂に私は決断しました。

 

体調が悪い合間をぬって、彼女に来てもらい面談をしました。体調はどう?という話から始まり、今後どうしたいか希望も聞きました。しかしながら、実質的には「今社内が大変で困ってる。待ってる事も出来ないし、席を空けながら代打を用意する事も難しいから、自分から辞めてくれ」そう感じ取ったに違いありません。

結局、彼女のほうから「ご迷惑をおかけしますので」と言って退職してもらう事に。その後、彼女は妊娠悪阻で数日入院する事になったそうです。私は、生まれて初めてその病気を知りましたが全体の妊婦の1~5%程度だそうです。

 

ここで人事労務経験者や私が誰かに相談していれば、もっとましな対応が出来たと今は思いますが、当時はこの対応で終わりました。結果、業務を割り振ったり、部分的にアウトソースや新たに雇用するなど、明確な対処法が生まれ平時に戻っていくわけですが、ここでは、妊娠悪阻への根本的対応を用意していませんでした。

 

そして・・・・・

 

デジャブな悪阻

2回目と全く同じ状態が発生。彼氏出来ました。結婚します。ハネムーン行きます。妊娠しました。

これって・・・

と思いましたがまあ休んではいない。大丈夫だろうと。

 

その前に様子が変わったのが1か月ほど前。仕事のスタイルもまあ良好で、オフィスでも最後まで残って。と言っても定時後10分前後だが、業務の話や雑談をするような人間が、べるさっさ発動。業務にも関心がなくなったかのような塩対応。周りからの声も「なんかちょっと変」の声がちらほら。

様子がおかしかったので、他の社員から確認を入れると「妊娠しました」との事。

 

これで妊娠直後の変な行動。。。ではないが、今まで数年とは全く違う行動を取るようになった彼女を多少理解しました。

社内共有後は、勤務時間中の居眠り。集中力低下による業務遅延。これらも発生し、欠勤とはまた別のパフォーマンスの影響が大きくて困りました。仕事なので正直、中途半端にされるよりは、もう休んでいいから来なくていい。と出来たほうがある意味楽なのです。

「無理しないでね」「きつかったら休んだほうがいいよ」

そういうまわりの言葉もあったのでしょう。月曜日は必ず休むようになり、ついには診断書まで用意し1週間欠勤しますと。引継ぎも無ければ、また他の社員にふりかかる仕事。

 

そしてまた出る不満

「この日だけは来て欲しいのに、まさか1週間後の休みまで入れるとは」

「引継ぎもないし、あの人仕事無いならそもそもいなくていいんじゃないの」

 

正論って疲れますね。みんな言う事は、それぞれの視点で正しくて。それぞれに共感しえます。ただ、小規模企業者みたいに数名から20名以下の組織だと1人のテリトリーは結構大きいし、余剰人員もいない。「そんな会社無くなればいい。まわっていないんだから。」と言われればまさにその通り。

ただ、現実問題、必要不必要ではなく、そういう組織体での妊婦による不確定要素にどう対処すべきかと言うところを考えていきたい。大企業などは、選択肢が多いが、小規模企業はそうはいかないのだ。

 

妊婦対策には余剰人員しか無いのか

小規模企業者の特性として、1人あたりの業務テリトリーが幅広いか極端に狭いケースが多いだろう。小規模が故にほとんどアウトソースで済む場合やシステムなどを使えば楽に出来る事が多いからだ。そう考えると、妊婦可能性が高いセクションに余剰人員を配置するとした場合、やはり業務量によってしまう。業務量がそもそも多ければ、2人配置しても良いが業務量が少なくても多くても、そうなると結果的に業務幅を広げるしかない。

一般事務で採用したが営業もやってもらうような。そういう話になってしまう。業務幅がある程度広い事を前提にし、仮に妊婦が出て妊婦悪阻や産休、育休に入ったとしても、業務幅の調整でやらなくても直近困らないような。そんな業務あるのかと思うが絞る事で調整が可能かもしれない。

ただ、この方法で難しいのは、残されて若干仕事が増えてしまう人の感情的な部分だ。これは痛いほど経験してきた。人間不思議なもので、そもそも2人でやっていた仕事を3人でやるようになり、1人抜けたとする。そうすると物理的に出来ていたとしても、感情が収まらないのだ。これは、私のマネジメント的なものの不足かもしれない。

いつだったか、社員が1年で20名から10名になった時があった。それでも会社はお客様に迷惑をかけずに回った。成長もした。最初は感情的になっていた社員もいたが、落ち着きを取り戻すとみんなでしっかりやれていたのだ。それにより、賞与は増え、給料もあがり、有休もしっかり取れるようになった。

 

そう考えると1つの法則としては、

上がった業務量を下げるのは良いが、一時的とは言え、下げた業務量を元に戻すのは大変

という事になりそうだ。そう考えると余剰人員を置いておく事による対策は、この業務量のジレンマにより、元に戻っただけだがしっかりチームワークが出来上がっていないと、残されたものが辞めるリスクが高まる。さらに業務量が増える事に対する報酬を求める傾向にある。

これだけやっていたのが、これもやるんだから、何かもらえないとおかしい。もらえないならやめる。

このような感じで「ちょっときつくなるけど、普段残業なんて無いわけだから、みんなで少し残業して乗り切ろう。〇〇さんも戻ってくると頑張っているし」というような投げかけに「そうですね。頑張りましょうか」。という反応をしそうな人間に残念ながら私は出会っていない。これもまた、そういう人財を採用、教育、引き付けられない経営者の責任なのだが。

 

産休を小規模企業視点で国策として考える

妊婦は、健康で妊娠前と変わらず臨月まで普通に働けた。こういう人もいるが妊娠した直後から、メンタル的なものも含めて欠勤し続ける。どちらも「継続して仕事がしたい」前提に立った場合、国としてはどういった対策がベストだろうか?

産休と育休

言わずもがな小規模企業にとって、産前1カ月半欠勤は結構きつい。産後の2か月。合わせて14週で約3か月だ。ただ、妊婦の事を考えるとこれはありがたい。さらに産休中の給料も健康保険に入っていれば給料の3分の2が働かなくてももらえる。よく考えて欲しい、社会保険は労使折半。会社も払えば本人も払う。それに労働保険もある。本人は出産手当金が出るが企業は妊婦を抱えていてももらえない。まさに掛け捨ての税金。大企業ならまだしも小規模企業には物凄く堪える。

この点、労働者は守られているがこれから増える小規模企業・自営業者は守られていない。また、自営業者に関しても産休などない。手当も出ない。これは誠に不公正だ。アンフェア。これが働きかた改革などで、副業、兼業、フリーランスが増えていく。国民健康保険には加入しているが産休も無ければ出産手当金もない。

もしも、国策として産休を考える。つまりは、誰しも職業によらず公平に生みやすい環境を考え、持続可能な経済を構築するのであれば、こうなる。働いている人間の年金と健康保険。これの一本化。国民年金と国民健康保険は、無職の人だけでいい。老人や専業主婦(夫)。

ベースは、1か月単位の生活保護費を最低とし、1日単位で小規模企業、妊婦、フリーランスに対して支給。企業は、そのお金で「戻ってくるかもしれない」人間を待つ為の人財を雇用または、アウトソーシングするたしにする。妊婦は生活のたしに。フリーランスも休業中の生活費に使う。保険料が平等に分配され、妊娠する人を全員で社会全体でサポート出来る。

 

育休を小規模企業視点で国策として考える

育児休業

保育園落ちた死ね。のくだりは、働く人も小規模企業も同じ気持ち。やはり、待機児童の解消は、小規模企業にとっても非常にありがたい事。ただ、任意で1年6か月欠勤し、職が確保されてるのってどうなんだろうとちょっと違和感を感じる。例えば、実際に18か月休んで職場復帰するような権利を日本の文化で取得するのは、まだ時代的に正直厳しいのではないだろうか。

それよりも18カ月で時代がどれほど進むのか。それだけ仕事もしないで、すぐに前線に戻れるとは思えない。職種にもよると思うのだが、おそらくまっとうなビジネスパーソンであれば、そんなに休んでられないと思うだろう。

 

そう考えるとこの制度は、どうしても取得しなければいけないケース。それこそ預け先が無い。子供に先天性の病気がある。シングルである。本人が産後うつなど働けない。

いわゆるセーフティーネット的なカテゴリ。上記に問題が無ければ、0歳の子供とおそらく「この時間を大切にしたい」と思うのが親だろう。正直、家族や子供を考えるとこの時間こそがとてもスイートで価値のある時間だ。

18カ月や24カ月。育休を取れる。その理由と期間をもう少し明確にすることで、待つ人も待たれる人も仲良く出来ないだろうか?

18カ月あれば会社は潰れることも、事業が変わる事も、経営者が変わる事もありえる。しかもだ、幼稚園は3歳~5歳。0歳からの3歳が抜け落ちている。保育園となるわけだが、ここの谷間も国は考えていない。

 

この大事な時期に親の愛を。そして、この時期にしか出来ない教育を行う事が日本全体の価値につながる。昨今、国がしっかりやらないもんだから、保育スペースを社内に設けたり、保育園と提携する企業もあるがスモールビジネスではそれは難しいというもの。

国も小規模事業者に対して「従業員が希望したら18カ月休ませよ」などと言う。それならば、その間の代替コストを負担するかその分の税額を控除するなどしてほしいものだと思う。

また、自営業者の育休はないのだ。国はテレワークや働きかた改革、副業なども進め時代と共に。アメリカの傾向と同じようにフリーランスは増加の一途だ。育休を取得し、さらに給与の半分前後を受け取り続ける事が出来る。

 

ここだけ見れば素晴らしい好待遇だ。この権利を使わない手は無いだろう。その職場を辞めるつもりで私なら取得しそうだ。働かずにインカムがある。まるでベーシックインカムの期間限定バージョンのようなものだ。

ただ、ここにも制度の不公平がある。取得する権利は平等だが。男女での取得率に大きな差がある。仮に18カ月を夫婦で9か月取ってもらうと、勤務先企業の負担は50%になるのだ。

これが女性だけ取っているからおかしな話になる。前述の妊婦3人目の話ではないが、旦那は取らず妻だけ取るのだそうだ。取れるところから権利を行使する。国のやりかたにガッカリした。困ったものだ。

使える人だけ使うのではなく、使う事で国として効果を出せるように、ある程度の条件は入れても良いのではないかと思う。シングルの場合もあるが夫婦で育休を同日程度取得する事で育休中の支給を40%だったものを60%にし、清算するとか。

インセンティブ形式で男女の取得率を上げてもらい、期間を半分ずつにするなどしたほうが取得も増えそうだ。ただ、小規模事業者にとっては、6か月欠勤は死活問題に発展する。

 

感情的にも8か月以上先に戻ってくる人財を信頼できるのか。8か月間社内の人間の感情的な部分をニュートラルに出来るか。8か月先にその人の席と仕事と給料を用意出来るのか。など考えてもしょうがない。

お膳立て出来るかどうかは全く分からない。8か月後、戻ってくると言っている人間が「やっぱり辞めます」という事もあろうと思う。可能性としてはゼロではない。

そんな不確定要素を発生させるこの制度。小規模事業者は、妊婦になる可能性がある人財を雇うべきではないのか。はたまた、育休の取り方次第でもう割り切ってしまうか。

この界隈でうまくやれてる会社があるのだろうか。。。非常に興味深い。

 

仮まとめ

この話には、まだ続きがある。

自分なりの解は、今のところ出そうにない。昔は、成長路線で人も多くなるのが当たり前だった。その為、特定の年代や世代、家族構成の人間が組織に固まるのはよくないと考えていた。小規模企業者と言えど。

でも、今は違う。ツールや技術も進歩してきて、ジャンルによっては、たとえ偏ってもいいし、無理して採用する必要もない。実際、優秀な人財を引き付け、採用出来ないのだが。スモールビジネスであれば、システム化やアウトソースで十分対応可能になりそうだ。というのが最近の解。よって、この仕事、システムか外注に出せないかな。と考えるように仕事をしている。

また、工数が減るように常に仕事を見つつ、効率化を図る事で社員の時間を生み出すようにしている。

冷たい感じもするが、人に任せるのは、システムやアウトソースより安いから。人を動かせなければ、それがもっとも自身が考えるビジョンよ近づく要因。その反面、出た利益や時間は、社員に大いに使ってもらう。但し、余剰人員がいない。。。するとブーメランで問題がまたくる。結局、小規模企業者にとって、余剰人員をおけないぐらいの会社は、採用時に男女、年齢に内部的制限を加えるほかない。

労働基準法違反だが、小規模事業者にとって現実と乖離している。

 

 

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